家の知識
House Knowledge
住居を修繕・改修するときに登場する「リフォーム」と「リノベーション」の2つについて、違いを理解している人は多くありません。
どちらも似たような意味で使われることが多く混同されがちですが、工事内容や費用面が異なります。
本記事でリフォームとリノベーションの違いや、双方のメリットを解説します。
目次
リフォームとリノベーションという言葉は、住宅の基礎を残した状態で内装や設備、間取りなどを変える工事の名称として使われます。
法的には明確な定義がされておらず、工務店やメディアが各々で判断し、イメージの伝わりやすさや語感で使っている状態です。
本章では「一般社団法人 リノベーション協議会」を参考に、リフォームとリノベーションの違いを考えていきます。
リフォームは英語にすると「reform」で、「改正・改良」という意味です。
住宅業界では「新築したときと同じ状態に戻す工事」として使われることが多く、賃貸物件でよく聞く「原状回復」としても使われます。
このような部分的な工事を行い、新築時と同様の価値にするのがリフォームです。
新築時を100と仮定した場合、劣化や破損して50に落ちていた住宅の価値を、再び100に戻すための工事と考えるとわかりやすいかもしれません。
リノベーションを英語にすると「renovation」で、「革新・刷新」といった意味があります。
主に、既存の建物に対してプラスアルファの価値を付ける工事のことをいい、間取りの変更を含めた大規模な工事になることが多いです。
こうした大規模で価値を高めることに繋がるものがリノベーションです。
新築時を100とした場合、150や200の価値にするための工事がリノベーションだと考えるとイメージしやすいでしょう。
また内装を1度すべて解体した「スケルトン」という状態から住宅を造り直す工事があります。
大幅に建物が変わるので建て替えと混同されやすいですが、これもリノベーションのひとつです。
リフォームとリノベーションでは工事の規模に違いがあるため、費用面にも大きな差がでます。
基本的に大規模な工事になることが多いリノベーションのほうが高い費用になりますが、リフォームの場合も住宅の劣化の度合いや求めるグレードによっては高額です。
また、リノベーションの場合は工事が始まると住めなくなることが多いため、引越しを必要とします。
工事にかかる費用に加えて、引越し費用と賃貸住宅に入るのならその家賃も必要になることを計算しておいたほうがよいでしょう。
部分的に直すリフォームで住み続けるか、思い切って大規模なリノベーションをするか、迷う方はそれぞれのメリットを考慮して検討しましょう。
リフォームのメリットは比較的築年数が浅く、全体的な老朽化が少ない住宅ほど感じることができます。
主なメリットは以下の3つです。
リフォームのメリットとして1番大きいのは、やはり比較的手軽に工事をしてもらえるという点でしょう。
住宅に大きく手を加えないため、補修や修理が必要ない部分をそのまま残せるというのもリフォームのメリットです。
リノベーションは家に住みにくさを感じたり、古さを感じたりしたときにメリットが出てきます。
以下の3つがメリットです。
間取りや内装を大幅に変え、まったく新しい家にできるというのが、リノベーションの最も大きなメリットです。
基礎部分を残しているためコストが新築よりも大幅に抑えられるというのも、嬉しいポイントでしょう。
また、一部の建材は再利用できることもあるため、思い出がつまった家の一部をリノベーション後にも使うことができます。
これは施工会社と相談しないとわからない部分ですが、残したい柱や据え付けの家具がある場合は工事の前に伝えてみてください。
リフォームは比較的小規模で部分的な工事によって、新築時の価値に戻すことです。
対してリノベーションは、住宅を大きく変える大規模な工事で、新築時よりも価値のある住宅にすることを指します。
違いを理解することで、目的ごとにリフォームとリノベーションを正しく選ぶことができます。
どちらが優れているということはなく、住宅と住む人に合った工事をするのが正解です。
一般的には、築年数が浅い住宅はリフォーム、築年数が20年を超えた住宅はリノベーションを行うのがよいとされています。
古い物件はリフォームで一部を直しても、すぐにまた別の部分が壊れてしまうことが多いため、結果的に複数回のリフォームで高くなってしまうことが多いからです。
リフォームとリノベーションをどうしても決められない場合は、工務店や建築会社に相談するのもよいでしょう。
適切なアドバイスでよりよい住環境を提案してくれます。
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